二酸化炭素消火設備に関して
昨年末並びに新年早々に二酸化炭素消火設備でいたたましい事故が発生してしまいました。犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
今回は、二酸化炭素消火設備の仕組みに関して、ご理解を頂くために簡単に下記の通りまとめました。起動釦を押しただけではすぐに二酸化炭素ガスは放射されないなどの安全対策が施されています。
二酸化炭素消火薬剤とその毒性に関して
二酸化炭素消火薬剤は、貯蔵容器に圧縮液化の状態で蓄圧され、放出されると窒息効果および冷却効果により消火します。空気より約1.5 倍重たいため燃焼物の隙間にもゆきわたり効力を発揮します。また、ガス系ですので消火後の消火薬剤による二次的汚損が少ないのが特長です。フロン規制でハロン消火薬剤の製造が中止になった現在では、強力な消火能力をもった消火薬剤です。 二酸化炭素消火設備は、常時人のいない ボイラー室、乾燥室その他多量の火気を使用する部分、ガスタービンを原動力とする発電機が設置されている部分又は指定可燃物を貯蔵取扱場所、駐車場、危険物の取扱う場所に設置されています。
二酸化炭素消火剤の毒性に関しては、空気中の二酸化炭素濃度により、人体に対して下記のような影響を及ぼします。
当社の消火設備点検時の対応について
当社は二酸化炭素消火設備の点検を実施する前に下記の誤放射対応をとってから安全に点検作業を行っています。
二酸化炭素消火設備は、「④起動ボンベ」を「③電磁弁開放器」で作動させ、起動用ガスで二酸化炭素ボンベの「⑤容器開放弁」を作動させて、二酸化炭素消火薬剤を放射させる仕組みになっています。
点検中に誤放射させてしまう可能性としては、「④起動ボンベ」周りで振動や予想もしない要因で、「③電磁弁開放器」を作動させてしまうと、瞬時に二酸化炭素消火薬剤が防護区画に放射されてしまいます。
よって、上記手順で起動用ガスの通り道を「閉止弁」で閉鎖し、更に通り道の「起動用銅管」を外し、誤放射しない安全な状態で、「③電磁弁開放器」を外してから点検作業に入るようにしています。
点検終了後、復旧させるときには、(1)電磁弁開放器を起動ボンベに取り付ける (2)起動銅管を弁開放器に取り付ける (3)閉止弁を開ける の手順で復旧し、その後は一切触れないようにしています。
二酸化炭素消火設備の消防法による安全対策について
旧方式の二酸化炭素消火設備の安全対策型への更新のお勧め
今回は、現状の安全対策型の二酸化炭素消火設備に関してご説明してまいりましたが、この際、旧方式の設備に関しては、是非安全対策型への更新をご提案させていただきます。